茨城県土浦市中番外12-9
土浦市はJR常磐線で上野駅から約一時間、茨城県の南部に位置し、日本百名山の一つ、関東の名峰筑波山を背に、全国第二位の淡水湖霞ヶ浦に面した自然環境に恵まれた街である。
農業は米の他に日本一の生産量を誇るレンコン、花きの名産地としても知られるなど、全国的にも高く評価される農産物を生産している。
また、江戸時代から水戸街道と桜川、霞ヶ浦の水運と相まって、交通の拠点となり、物資の集散地として発展してきた。
現在は、県庁所在地の水戸市と並び県内トップの商業力を持つとともに、首都圏との交通アクセスの良さを生かして工業団地テクノパーク土浦北へ優良企業の誘致が進められている。
当社はJR常磐線の荒川沖駅の北側約3km、4月から5月にかけて桜の美しい乙戸沼公園の向かい側に位置している。
昭和33年に現在地から約一km離れた水戸街道(国道6号線)に面した場所で農機具販売店として創業し、昭和38年に株式会社に組織変更をした。
現社長の隆司氏は二代目で、大学を卒業後、さらに一年間ヤンマー学院で学ばれ、昭和52年に当社に入社された。
その後、機械の大型化が進むなかで整備工場の拡充、展示場所と来客用駐車場の確保のため、平成2年に現在地に移転した。
顧客は主に土浦市、牛久市、つくば市及び稲敷郡の約900戸で、大は3ha、小は0.2ha、平均すると1haである。このうちの約半分が専業農家である。顧客の八割は畑作が中心で、スイカ、メロン、白菜、落花生、甘藷、馬鈴薯、大根、ネギなどを生産しており、残りの二割が水田である。
次に当社の概要について触れてみよう。
敷地面積は1320平方mで、延建面積は555平方m、うち店舗と事務所が135平方m、工場、倉庫、部品庫が420平方mとなっている。
整備施設のランクは大型である。
社長を除く従業員は6人で、男女別では男4人、女2人、職種別ではセールス1人、事務2人、整備3人となっている。
農業機械整備技能士の資格者は一級3人、二級が1人となっている。
次に車両関係では、簡易クレーン付き3.5t車、1.5t車が各一台、軽トラックが二台、ワゴン車とライトバンが合わせて5台、225ccのオートバイ、1台を所有している。 オートバイは「特急便」と呼ばれ、座席の後ろに大きなボックスを取り付けてあり、道路渋滞時に急ぎの部品配達や簡単な修理に活躍している。
取扱銘柄は、トラクター、耕うん機、田植機、コンバイン及びバインダーがヤンマー、ティラーがホンダ、防除機が丸山、乾燥機が山本、もみすり機がサタケ、ネギの土あげ機などのその他機種がヘルパー(関東農機)、マメトラ及び共立となっている。
事務機器については、ヤンマーのパートナーシステム専用機(部品の在庫確認と発注用)、パソコン、ファックス及びコピー機が各1台となっている。
当社は経営理念に「顧客第一主義」を掲げている。これを実践するため、第一は、「勉強会」を開催していることである。
「勉強会」始めたきっかけは、夫人が展示会で試食したサツマイモであった。おいしかったと伝えたところ、後日そのサツマイモが会社に届けられ、その折りに話を聞くと、秘訣は土壌改良剤とのことであった。社長はそれまで行っていた夜討ち朝駆け型のセールス方法に疑問を感じ、自分が何かを得るよりも前に、相手に何かを与えるべきではないかと考えていたところから、農家を含めて勉強しようということになった。この勉強会の成果として、農家が品質の高い、高付加価値の作物を生産するようになり、収入が増え、結果的に農業機械の需要を刺激することとなった。
その後勉強会では、営農、農作業安全、機械の維持管理についてなどの様々なテーマを取り上げ、現在も活発に続けられており、多いときは年に7〜8回行うこともある。
第二は、お客様に気持ちよく当社を利用してもらうためには、従業員全員の意識の向上が欠かせないので、CS向上、問題解決のために全員で検討を行っている。
社長は接客の勉強のため、評判の良いカーディーラー、レストランなど異業種の店舗も積極的に訪ねている。時には都内にまで足を運ぶこともある。
社長は、常々従業員には誇りを持って仕事に取り組んで欲しいと考えており、社長自身のやるべきこととして、社員が恋人に見せたくなるような、誇りを持てる企業にするよう努めている。
ところで約20年前、当社の創業地のすぐ近く、現在の店舗からも1km程の所に農機具も扱う大型ホームセンターが営業を始めた。営業開始当時は小物だけの取り扱いであったが次第に品揃えを増やし、現在ではトラクターなども取り扱っている。品揃え、商圏ともに当社と重なるため、大変な驚異であり、実際に影響も受けた。
しかし、ノウハウの蓄積に基づいた専門知識をさらに高め、農家のニーズに合ったアドバイス、サービス技術の向上と迅速な対応で顧客の流出を最小限にくい止めることができた。さらに流出した顧客の多くもアフターサービスの重要性を再認識し、値段に差があることを承知の上で納得して当社に機械を求めるようになった。
現在では、当社はプロのユーザーを中心に営業展開をし、ホームセンターが販売した機械でも修理を行うなどして共存している。
次にスクラップの処理についてお伺いしたところ、バッテリーは専門の業者が無料で引き取り、それ以外のスクラップは4t車に一台程度たまると廃棄物処理業者が有料で引き取りにくる。また、クローラやタイヤなどのゴム製品についても追加料金を支払えば持って行くとのことであり、費用はかかるものの、処理に困るような状況ではなかった。
次に平成11年を振り返っての感想をお聞きすると、米、野菜などの収量は高かったが、カメムシによる米の品質低下、米価の低迷、さらには9月に起きた東海村のウラン加工施設での臨界事故による風評被害で茨城県産農産物全体が打撃を受け、農機販売店も影響を受けるなど、取り巻く環境は厳しかった。
最後に今後の予測についてお伺いすると、2000年を迎え、社会、経済、そして農業もマイナス材料ばかりで不安になるが、こんな世の中であるからこそ農家を勇気付け、やる気を起こさせるのも我々農機販売店の役割だと考えると、「顧客第一主義」を掲げる社長らしいお言葉で締めくくられた。
全農機商報:平成12年3月号掲載
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