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神奈川県藤沢市用田1067-3
横浜駅前の神奈川県商協の事務所で田中事務局長と合流し、車で1時間、小田急江ノ島線長後駅から5キロ程の国道43号線沿いに当社は位置する。
藤沢市は、湘南海岸や江ノ島で有名であり、近くには慶応大学湘南キャンパスがある。
当社の歴史をひもとくと、現社長の祖父である良蔵氏が大正10年10月に現在地に井上動力農機具店として創業したのが始まりである。当時は鍛冶屋であり、千歯屋の屋号で千歯こきの特許を取り製造販売したほか、鍬などの農具を扱っていた。
御尊父良孝氏は、昭和21年、満州から引き上げてきた後、家業を継がれた。23年に良蔵氏が死去され、二代目社長に就任された。
その後、農具からモーターや脱穀機などを扱うようになり、40年には水道工事の資格を取得した。
45年にヤンマーと取引を開始し、50年に法人化する際、(株)井上動力に社名を変更した。
現社長の良信氏(51歳)は、48年、大学を卒業されると同時に店を手伝うようになり、平成9年10月、良孝氏が会長に、良信氏が社長に就任された。
良孝氏は、昭和56年7月から平成4年3月まで神奈川県商協理事長を務め、また、良信氏は平成13年3月に商協専務理事に就任されるなど、二人とも組織活動に大変理解が深い方である。
平成6年に倉庫を、また、7年に店舗兼住宅を新築され現在に至っている。
テリトリーは、藤沢市、茅ヶ崎市、海老名市、寒川町、大和市、横浜市、綾瀬市、鎌倉市、東京都町田市となっている。
テリトリー内の農業は、露地野菜(ほうれん草、小松菜、大根)、ハウス野菜(キュウリ、トマト)、果樹(梨、ぶどう、柿)、畜産(養豚、養鶏、搾乳)、花き(バラ、スイートピー、カーネーション)、稲作など多種に渡っている。
顧客数は1000戸で、耕地面積は大は4・5ヘクタール、小は5アール、平均すると1・2ヘクタールとなっている。顧客のうち後継者のいる専業農家は10%、50代以上で後継者のいない専業農家は45%と専業農家が非常に多い。
次に、当社の概要に触れてみよう。
本社の敷地面積は990平方メートルで、延建面積は538平方メートルとなっており、このうち製品倉庫300平方メートル、部品庫50平方メートル、ショー−ム68八平方メートル、中型整備工場120平方メートルとなっている。
資本金は1000万円である。
社長を除く従業員は農機関係は7人で、男女別では男5人、女2人、職種別では事務2人、セールス2人、整備1人、水道工事関係2人となっている。
農業機械整備技能士の資格者は1級4人で、この他給水装置工事主任技術者1人、下水道排水設備責任技術者1人となっている。
次に、車両関係では、軽トラ3台、0・75トン車2台、2トン車1台、乗用車1台、ダンプ1台を有している。
取扱銘柄はヤンマーが6割を占め、機種別ではトラクター、田植機、コンバイン及びバインダーがヤンマー、耕うん機、ティラー及び防除機がロビンとヤンマー、乾燥機が大島、籾すり機がヤンマーと大竹、その他みのる、共立などとなっている。
事務機器については、パソコン1台、ファックス1台、コピー1台で、パソコンは請求書作成に活用している。
次に、当社の最近時の決算をみると、12年8月〜13年7月期で農機関係9300万円、水道工事関係2700万円、計1億2000万円となっている。農機関係に占める整備売り上げは656万円(7%)となっている。
次に、中古農業機械のスクラップ処理についてお伺いすると、農家から引き取った中古農業機械を鉄、タイヤ、プラスチックなどに分解、分別し、処理業者に持ち込んでいる。以前は分別せずに4トン車1台当たり10万円で引き取ってもらっていたが、現在は年間5〜6万円の処理料である。しかし、クローラについては処理業者がなく困っている。
次に、経営理念についてお聞きすると、社長は、お客様を待たせず常に迅速な修理を心がける。迅速な対応はどんな有能なセールスにも勝る。信用第一で誠実な商売に努め、全てのセールスがお客様を差別をせず、顔色を伺うことをしない。
メーカーの品物を買ってもらうのではなく、井上動力を信用して品物を買っていただく。
技術力、迅速な対応で他社との差別化を図る。アフターサービスが良いからお客様がまた来る。メーカーの技術講習会、新商品講習会には積極的に参加し、技術力の向上に努めている。
次に、企業経営の特色であるが、第一には、当社では、農業機械の販売整備と水道工事の二本柱で事業を進めているが、顧客である農家から家庭用井戸ポンプや温水ボイラーの発注があるなど相乗効果がある。
第二には、定期点検に力を入れている。
当社では、トラクターは購入後50時間ごとに、また、コンバインは2年ごとに定期点検をするように奨めている。
第三には、万が一の農作業事故に備え傷害保険を掛けていることである。
これは全農機商連の「農業機械傷害補償制度」で、死亡お見舞金200万円、後遺傷害お見舞金6万円〜200万円、入院お見舞金1日2000円、通院見舞金1日1000円が支払われるもので、1年目は当社がサービスで掛けており、2年目以降お客様が希望する時は自費で継続加入していただいている。
次に、ここ数年の動きについての感想をお聞きしたところ、昔のようにじわじわと売れることはない。単年度勝負で、需要期がうまく当たると売れる。
昨年、一昨年とシンプル農機の乗用田植機が売れたが、今年は行き渡ったことと様子見から一段落した。
長期に渡る農産物価格の低迷から農家の購買意欲が著しく減退している。
さらに、最近の失業率の増加、痛みを伴う構造改革の推進などの影響により、農家は必要なものは購入するが、必要以上のものには手を出さない。
最後に、今後の予測についてお伺いすると、予測が立たず大変厳しい。60代以上の農家が、息子が農業をやらないので中古を捜して欲しいというなどお客様のニーズが不透明である。
地元の販売店が集まって共同仕入れをしたらどうかとも考えているが、なかなか難しい面がある。
新食料法で食料自給率の向上を定めながら、中国に対するセーフガードの正式発動が出来ない中で、当地のような都市近郊農業は農政の動きに影響を受けやすい。
しかしながら、農業は絶対になくならない。農機具屋は農業を支えるために必要であり、将来的にも続いていくだろうと締めくくられた。
全農機商報:平成13年11月号掲載
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