桜屋機械有限会社

お客様第一主義に徹する


福島県福島市鎌田蛭川2−5

昭和17年に創業
 JR福島駅前で福島県商協・斎藤常務理事と合流し車で店を訪問した。
 当社は、阿武隈急行の福島学院前駅の側、国道4号線沿いに位置する。
 祖父の林哲二氏は、本家の土建会社に勤め蔵を引く手伝いをしていたが、昭和17年、分家独立し瀬上町の自宅で井戸掘りの事業を始めた。りんご、さくらんぼ等の果樹園が多い中、ポンプの側の薬液漕から竹竿でできた配管を設置したり、有光の防除機械を扱っていた。
 ご尊父、一重氏は、戦後復員して店を手伝うようになり、27年に法人化した。
 20年代後半に東京産業(三菱農機の前身)との取引が始まったほか、豊田やダイキンの耕うん機やメリーティラーを扱っていた。
 40年、県庁側に本社を移転、自宅側に営業所、原町営業所を開設し、順調に社業を拡大した。45年、現在地に本社を移転、旧本社を福島営業所としたが、平成元年に廃止した。
 平成2年に哲二氏が死去、一重氏が二代社長に就任した。
 敬哲(たかのり)氏(53歳)は、大学卒業後小松フォークリフトに三年間勤めた後、入社し、19年1月に三代社長に就任した。現在、福島県商協の副理事長を務めている。
 テリトリーとしては、福島市、伊達市、二本松市、南相馬市で、農業事情は、果樹(桃、りんご、梨、ぶどう、いちご)、米(コシヒカリ)、野菜(きゅうり、ほうれん草、トマト)等である。
 顧客数は九百戸で、耕地面積は大は1ヘクタール、小は20アールである。福島県の認定農業者数及び集落営農組織数は東北で一番少ない。果樹園やきゅうりのハウス栽培農家はほとんどが専業であり、米関係は兼業が多い。顧客の半分は専業である。退職後のホビー農家も多い。1年中、仕事があり、バインダー、ハーベスターが売れる。



三菱をメインに
 
 本社の敷地面積は1108平方メートル、うち大型整備施設120平方メートル、ショールーム130平方メートル、事務所130平方メートル、製品倉庫260平方メートル、部品庫100平方メートルとなっており、敷地の一角をラーメン屋に貸している。このほか原町営業所1650平方メートルとなっている。
 社長を除く従業員は男4人、女2人の計6人、職種別ではセールスエンジニア4人である。
 農業機械整備技能士の資格者は1級4人となっている。
 取り扱い銘柄は三菱が6割で、このほか防除機が共立、丸山、籾すり機が大島、サタケ、乾燥機が大島、山本等となっている。
 次に、最近時(19年6月期)の決算についてみると前年比で微減となっている。整備部門割合割合は10%である。




完全なアフター
 使用済み農業機械の処理についてお伺いすると、年2回位、市内のスクラップ業者が無料で引き取りに来る。タイヤについては有料である。
 次に、経営理念についてお聞きすると、
『お客様第一主義
 ・誠実、熱心、親切
 ・品質本意
 ・完全なアフターサービス』

をあげられた。
 社長は、お客様本位、アフターサービス中心でないとお客様が付いてこない。当社では、セールスとサービスが一体であり、自分で売った機械は、自分でアフターサービスを担当する。社員を評価する時に、修理、整備部門のポイントを高くすることにより、モチベーションを高める。
 当社は、福島のメインストリートである国道4号線(5車線)沿いにある。かつては同業者が数件、店を構えていたが、現在では当社だけである。300メートル以内にホームセンター(コメリ、カインズホーム、ダイユーエイト)があり、競争が激しい。価格競争はせず、アフターサービスと品質で差別化を図っており、非農家のユーザーが増えている。
 役所関係の公園、グラウンド整備用の芝刈機、スポーツトラクターも扱っている。
 通常、新品に関しては1年保証であるが、当社では2シーズン保証をしている。
 無償サービスとアフターサービスは違うので、お客様からきちんと技術料等を頂く。
 事務所には、『石徳五訓』が飾られている。
一.奇形怪状無言にして能く言うものは石なり。
二.沈着にして氣精永く土中に埋もれて大地の骨と成るものは石なり。
三.雨に打たれ風にさらされ寒熱にたえて悠然動ぜざるは石なり。
四.堅質にして大厦高楼の基礎たるの任務を果たすものは石なり。
五.黙々として山岳庭園などに趣きを添え人心を和らぐるは石なり。
   永平泰禅九十四翁

自分で販路を開拓
   次に、昨年を振り返っての感想をお伺いすると、クローラトラクターやコンバイン等の大型機械が良かった。社長交代を迎えるに当たり全社一丸となり拡販に努めた結果、本年2月に開催された三菱農機の全国大会で総合の部の優秀賞を初めて受賞した。
 今年に入り、昨年の反動と新農政の展開による農家の買い控え傾向で厳しいものがある。
 最後に今後の予測についてお聞きすると、自分のことは自分で守ることが大切である。当地では、米の集荷業者が多い。農家は農協に持ち込まなくても庭先で現金化できる。
 果樹の選果機、梱包機を活用し、直売所、野菜自販機、インターネットでお客様に直接販売する農家が増えてきた。福島市内には年商1億円以上の直売所が3カ所ある。無農薬、減農薬を売りにしたり、米を学校給食センターに販売している農家もある。
 これからは自分で販路を開拓した農家でないと生き残れない。このような農家はお金を持っている。有益な情報をお客様に提供し密着しないとお客様は付いてこない。


全農機商報:平成19年9月号掲載