阿部農機(株)
共生・感謝・誠実で生き残る

岩手県二戸市福岡字下中町23-1

昭和23年に創業
 二戸市は、岩手県内陸部北端にあり、青森県と県境を接している。東に北上山地、西に奥羽山脈があり、市街地を馬淵川が南北に縦貫している。
 当社は、東北新幹線二戸駅から北に2キロ程離れた所に位置する。
 当社の歴史をひもとくと、禮子社長のご主人の利三郎氏は三男であったが、昭和23年4月に現在地の隣にある本家の衣料品店の半分を借りて開業したのが始まりである。当時は、馬耕用具、製縄機、足踏み脱穀機などを扱っていた。
 禮子氏は27年に結婚、28年にヤンマーのK型エンジンを仕入れたのがヤンマーとの取引の始まりである。
 36年には法人化、その後順調に社業を伸ばしたものの、47年に利三郎氏が急逝、禮子氏が二代目社長に就任した。
 48年に石油ショックが起こり、エンジン用の油が手に入りにくくなったことから、禮子社長は、ディーゼル軽油をドラム缶100本分確保し、農家に大変喜ばれた。当時、大学生であった長男の裕一氏には、危険物取扱者の資格を取らせた。
 裕一氏(49歳)は常務として、次男の洋司氏(44歳)は田子支店長として社業を支えており、後継者に恵まれた企業である。
 49年には現在地に土地を購入、51年に新築し現在に至っている。
 テリトリーとしては、沿岸を除いた岩手県北部(二戸市、一戸町、安代町、浄法寺町、九戸村、軽米町)、青森県の三戸地方(田子町、三戸町、南郷村)となっている。
 テリトリー内の農業事情は、畑作(葉たばこ)、米(あきたこまち、かけはし)、野菜〔(レタス、キャベツ、にんにく(田子町は日本一)〕、花き〔りんどう(安代町は日本一)〕、畜産などとなっている。顧客数は6000戸である。


ヤンマーをメインに

 次に、当社の概要に触れてみよう。
 本社(二戸支店含む)の敷地面積は924平方メートルで、ショールーム、事務所、会議室などがある。このほか、支店七カ所(一戸、浄法寺、九戸、軽米、中山、安代、田子)と整備工場、配送センターがある。整備施設は大型1カ所、中型6カ所である。
 社長を除く従業員は53人で、男女別では男39人、女14人、職種別では事務14人、セールス17人、整備17人、その他5人となっている。
 農業機械整備技能士の資格者は1級3人、2級9人となっている。
 取り扱い銘柄は、トラクター、ティラー、バインダー、耕うん機及びコンバインがヤンマー、田植機がヤンマーとみのる、防除機がヤンマー、ロビン、丸山及び共立、乾燥機が山本、籾すり機がヤンマーとサタケ、たばこ用乾燥機がキハラ、三州、たばこ用収穫機が文明、関東及びセイノとなっている。ヤンマーの割合が約7割である。
 次に、14年6月期の決算をみると、前年比で微減となっている。これは、たばこ農家が機械(キハラ、文明)を購入した時、JT(日本たばこ産業)から半額助成があるが、導入のピークを過ぎた影響である。
お客様に信頼される

 次に、使用済み農業機械の処理についてお伺いすると、農家から買い取りまたは下取りした機械で再販できないものは、有料で業者が引き取ってくれるので困っていない。
 次に、経営理念についてお聞きすると、「共生・感謝・誠実」の言葉が返ってきた。
 共生とは、社員一人ひとりが持てる力を出し合い共に生きる。
 感謝とは、創業して55年、ここまでこれたのは地域社会のお客様と関係する企業の人達のおかげである。
 誠実とは、お客様の信頼を裏切らないことである。お客様に機械を売ることは、お客様に対する全ての責任がかかってくる。先日、農家の集まりに出席したところ、ある農家から修理がいいから阿部農機から購入したとお褒めの言葉をいただき大変嬉しい思いをした。お客様に信頼されてここまできた。
 1台売れば、10年、20年お世話をしなければならない。売った後のフォロー、アフターサービスが大事である。
 次に、企業経営の特色であるが、地域農家のニーズに合った機械の開発に努めていることがあげられる。
農機販売店の役割として、半分は、機械を通じて農業の生産性、省力化、近代化を高める側面がある。
 当社はたばこ農家とのつながりが深いが、昔はうねたてを小さな管理機で行っていた。しかし、たばこの場合、うねを大きく丸く作らなければいけないことから、ヤンマー農機に働きかけて、3年位試作の後、うねたてトラクターを完成させた。
 平成7・8年には、ヤンマーのレタス、キャベツの移植機を改良して、たばこの移植機を完成させた。
 さらに、昨年から、みのると協力して、試験的にたばこの脇芽止機(芽止剤の噴霧機)を開発し完成させた。
 

必要な機械を見極める

 次に、最近1年間を振り返っての感想をお伺いすると、15年6月期は前年比微増である。機種別には、たばこ乾燥機が減少したものの、幹刈機、葉編機が増加した。
 今年は冷夏で、米の低温障害の恐れがある。レタスの収穫期である6月頃は雨が続いた。にんにくは中国からの輸入が増加したことから、作付面積は減ったが価格は上昇した。
 最後に、今後の予測についてお聞きすると、農家戸数は減り、専業と兼業の二極化傾向が進む中で、まだまだ必要な機械がある。それを見極めることが大切である。残る農家を相手にしていけば生き残れる。
 2年前にJAは機械の扱いを止めた。いずれ息子達に経営を譲るが、適正利益を確保しながら絶対に勝ち組に入る。と締めくくられた。

◯阿部農機ホームページ http://www.lets-abenouki.com/



全農機商報:平成15年8月号掲載