点検整備のおすすめ

1.重要な農業機械の点検整備

よりよい作業は点検整備の励行で

 農業機械の故障は、ほとんど農繁期に起きます。機械の故障によって作業計画が狂い、作業適期を逃がしてしまうダメージは、農業機械が高性能化するほど大きくなります。農業機械は「忙しいときこそ信頼できる機械」であることが肝要です。
 機械を信頼できる状態に維持するためには、運転操作を正しくするだけではなく、機械の日常の管理を適正に行うことも非常に重要です。
 機械のベストコンディションは、点検整備の励行によって得られますが、その効果は、
  1. 性能の維持(故障の心配がなく、作業適期を逃さないで農作業を行える。)
  2. 収量の増加(適期農作業と作業精度の確保によって増収が見込める。)
  3. 安全性の確保(不整地走行においても快適で安全な農作業ができる。)
  4. 利用コストの低減(耐用年数を増加させ、経済効果を高める。)

となります。
2.日常点検と定期点検

異常の有無をチェックする習慣を

 機械を信頼できる状態に維持する方法は、日常点検と定期点検の励行です。日常点検と定期点検の方法は、機械に添付された取扱説明書によりますので、その内容を理解し、弾力的に、しかも横着せずに実行することが望まれます。
 点検の心構えとして最も重要なことは異常の早期発見です。機械の異常は、異徴(異常音・異常発熱・異常排気ガス・水洩れ・油洩れ・燃料洩れ、異常振動など)によって表れますので、使用者は五感をもって機械に接することが望まれます。
  1. 日常点検
     日常点検は、使用者自らが機械を使用するときに日常行う点検で、
    1. 機械の運転前(始動後も含む)
    2. 運転中
    3. 作業終了後(格納する前を含む)
    の3時点で異常の有無をチェックします。
     異常の発見と機械の愛護のためには、cの作業終了後(格納する前を含む)の段階で洗浄・清掃の励行が望まれます。
  2. 定期点検
     定期点検は、毎週、毎月、あるいはシーズンの前後などに定期的に行う点検です。機械に添付された取扱説明書によって、その内容を理解して行います。定期点検の時期はシーズンに合わせて弾力的に決めればよいでしょう。
     シーズンの前後に行う定期点検の内容には、使用者が行える事項と、専門的整備技能を要する事項がありますので、機械の安全性の確保の面からも注意を要します。
  3. 格納点検とシーズン前点検
    シーズンオフに完全整備を
     農業機械は「忙しいときこそ信頼できる機械」であることが最も重要ですが、そのためにはシーズン終了後の格納点検と、シーズン初めの定期点検を特に確実に行うことが望まれます。
     一般に、機械の管理は「メンテナンスフリー(手入れが不必要)」が目標ですが、不整地走行や過負荷作業を強いられることもあるトラクタやコンバイン、泥水中作業を行う田植機、作業ピークが極端に限定される乾燥機など、主な農業機械はシーズン中のメンテナンスの実行は確実になされる可能性があるのに対して、シーズンオフはまったく放置される可能性があります。
     そのためにこそシーズン終了後の格納点検と、シーズン初めの定期点検を特に確実に行うことが望まれるわけであり、なかでもシーズン終了後の格納点検、特に洗浄清掃は重要です。
    yogore.jpg  トラクタのロータリ耕うん部とコンバインのゴムクローラ部に、ワラ混じりの水田土壌が多量に付着したまま放置され、乾燥した壁土状態になっている事例は少なくありません。
    コンバインの機体内部と乾燥機の機体内部に、穀粒が残留したまま放置され、ネズミの巣になっている事例も見られます。
     格納点検はシーズン終了後直ちに行うのが望ましいのですが、それが出来ない場合には、なにがなんでも洗浄清掃と日常点検だけは直ちに行うことが必要です。
3.農業機械販売店からのお願い

気持ちよく利用していただくために

 農業機械の使用者であるお客様の農家が、機械を愛用し活用されて喜んでいただけるように農業機械販売店は切に願っています。今後とも末長く、お客様と気持ちよくお付き合いさせていただきたいと考えております。
 そのため、お客様には次のようなお願いをさせていただきます。
  1. サービスコール(電話による呼び出し)は慎重にして下さい。
     サービスコールで修理などするもののうち、お客様の力で防止できたはずのものが、農用トラクタは58%、田植機は60%、コンバインは73%という調査結果が示すように、サービスコールの過半数はその必要はありませんでした。
     サービスコールは、秋と春の農繁期に集中し、時間外のものも少なくないので、お客様の要望に応えることと、有能なサービスマン(整備工員)の確保という相反するはざまにあって、農業機械販売店の経営者はこの時期には身の細る思いでいます。
  2. 点検整備を励行して下さい。
     点検整備の励行によって得られるメリットは明らかですが、さらに販売店の立場からしますと、過剰なサービスコールの防止に効果が期待できます。多忙なときのサービスコールは、お客様との関係をギスギスさせやすいだけではなく、整備能力のある工員の他への流出を招きかねません。
     さらに農閑期における機械の格納整備の販売店へのご用命は、時間的に余裕がありますので必ずお客様の満足をいただけるはずです。なおその場合にも、予め機械の周辺、特に乾燥機の周辺を清掃整理しておいていただければ非常に整備も効率的になります。