(株)渡辺機械
高い技術力でプロ集団に徹す

福島県伊達郡川俣町大綱木上台5−1
TEL 024-565-2484

18年前にも取材
 当社には、18年前の昭和57年6月(以下「前回」という。)に当会から取材に伺っており、同年7月15日付け全農機商報にて当時の概況をご紹介している。

 そこで、今回の取材に当たっては、18年前との変化の様子などを中心とすることとした。その理由の一つとして、全農機商連では、平成12年度において、全国中小企業団体中央会からの補助事業「中小企業活路開拓調査・実現化事業」を受け、「21世紀業界ビジョン」を作成することとしており、各企業における事業展開の変遷などを調査し、事例的に業界の今後の進展方向として示してみたいと考えているため、プレ調査的意味合いをも含めさせていただくこととした。

 前回の時点では、現在の渡辺社長は30歳の専務取締役であり、そろそろ全体を任されようとしている時にきていた。そして、平成3年に会社創設30周年を祝う際に、創業者の渡辺善治社長(現在の会長)から渡辺信一氏(現在の社長)にバトンタッチされている。また、その時に合わせて新店舗を構え、有限会社から株式会社へと発展させている。

 当社が所在する地域は、かつては農業と林業が盛んで、人口も2万1千人ほどの町であったが、林業部門の中心を占めていたシイタケの原木生産や製材が大きく減少したほか、養蚕の盛んであった土地柄としての名残があるとかで、地価が比較的高いために福島市などへの人口の流出もあって、福島市の市街地まで車で40分ほどという地理的条件にありながら、現在の人口は1万9千人弱と減少傾向で推移してきている。

 現在、川俣町の市街地を避けてバイパスができており、さらに福島市にかけてのバイパス整備が進められていることで、福島市との距離が短縮されたとき、ベッドタウン化などによって人口が増加するであろうが、農林業の人工は徐々に減少するものと考えられる。

拡充と若返りが進む
 当社は、昭和三十六年に現在の会長の渡辺善治氏が資本金ゼロで開業したが、今では資本金1千万円、従業員13人で顧客数3500戸(前回2500戸)へと拡充されている。農林家の減少する中での拡充の背景には、川俣町、飯野町の二店に加え、岩代町に営業所を新設(昭和58年)し、テリトリーを岩代町、船引町にまで拡大したこと、さらには、新たな作物部門としての「花き」栽培農家への対応も生じてきているとお聞きした。

 従業員13人の役割は、セールス7人、整備4人、事務3人で、整備技能士の資格保有者が8人となっている。ちなみに現在の従業員は、先代の頃の従業員から一新して、社長を最年長とする若返りが図られている。こうした体制で、厳しい業界の中にあっても売り上げの確保に努めており、前回の3億円強から今の売り上げ4億円強へと伸ばしている。

 現在の社長は、社員との関係を重視しており、お互いがバラバラでなく、常に連携していることが大事であるとして、俗に言う「ホウレンソウ」が重要だと言って、?ダブっても「報」告。?スピーディーに「連」絡。?素直な心で「相」談。?綿密な打ち合わせ。を全員で実行に移していると話された。

 ちなみに前回社長室に掲げられていた
 一、先ず朝は召使いより早く起きよ
 一、十両の客より百文の客を大切に
 一、買い手が気に入らず返してきたら売るより丁寧に
などの事項が記された額は見当たらず、社長室はあるものの、現社長は常に従業員に顔を見せられる事務室を利用して、第一線で頑張っておられる。

 その成果の一つではないかと考えられるところを、当社で毎年お客様に配るために作成しているカレンダーに見ることができる。それは、年間を通じた作業の繁閑を見極めて、従業員が自主的に休日を設定することを社長が認めていることである。
整備事業を営業の基本に
 「営業の基本は整備におく」ということで、整備施設も一新したほか、整備技能士も4人から8人へと育成に努めてきた。その結果、適正な整備料金の徴収も可能となり、売り上げに占める整備料金収入は、前回の4%から10%程度まで上昇している。

 また販売の面においては、販促対策として実施してきた展示会も前回の2回から各営業所(3拠点)でそれぞれ年1回開催するほか、1月にはたばこ収納所における1カ月間の展示を行っている。
 なお、前回ご紹介したところの「三友会」(メーカー、当社、農家が一体となってお互いのメリット化を進める目的で結成された会)は、昭和62年頃に自然消滅したとのことである。

 販売面についてもう少し詳しくお聞きした。

前回の取材時には、農業機械関係と林業機械関係とでは、65対35の割合であったものが、今では林業関係は5%程度にまで減少している。しかし、運搬車やチェーンソーなどの売り上げは継続してあるとのお話であった。

 一方、農業関係については、年間を通じて販売するものがあると言われる。
 春の稲関係の田植機に始まり、牧草関係のモアーやベーラーなどに移行し、次いでたばこ関係の運搬車や管理機に加えてたばこのコンパクト乾燥機、そして近年新たな分野で花き関係の暖房機、管理機などへと移行し、さらに米の低温貯蔵機なども扱うようになっているとのことである。

 また、土壌消毒用の農薬の使用が制限されることを考慮して、蒸気土壌消毒機などを有望視している。

 近年の景況については、2年連続しての右肩下がりの状況が、ようやく止まった感じであり、今春は、若干上向きかげんであると話される。内容的にみると、トラクターではシンプル機が出た一方で、酪農もかなり行われており、大型機(ジョンディア)も出ている。また、田植機では小型機(Pe―1)の台数が伸びた(金額は別)とのことである。

セールスの理念は変わらず
 次に、セールスに際しての理念を伺ったところ、当社の理念は「信用が第一」であり、前回にお聞きしたときの理念を変えようがないとのことで、それを具体的に「顧客第一、使う人の身になって売る修理(なおす)」と説明された。

 このような考え方から、「農にこだわり続け、小物重点主義で、高い技術力をもった農家には無くてはならないプロ集団に徹する。」との決意であることをお聞きすることができた。

今後、大幅な売り上げの増加は見込めないであろうが、整備収入は堅実に伸びているので、整備部門にはさらに力を入れていきたい。そして、後継者に自信を持ってやってもらえる業界にしたいと抱負を語られた。

 終わりに、今後とも農業機械の販売・整備の専業でいかれるのかを伺ったところ、その通りと答えられた。

 新たに農業資材などの販売に着手するのには、集客の便からみて現在地では地理的に不利であり、地の利を考えれば、地価が高く、資金や人材面などに問題があるので、農業機械の整備・販売(整備が重点と考えられているので販売の前に整備を置く)でやっていきたいとのお考えを示された。

 当社は、平成13年に40周年を迎えようとしている。今後とも成長が期待される会社とみた。



全農機商報:平成12年7月号掲載