有限会社古宮農蚕機商会 
商売は熱と誠意と努力

八王子市元本郷町1-5-5


大正12年に創業
 東京駅からJR中央線快速に乗り1時間程で八王子駅に到着する。
 八王子市は人口約53万人、大正天皇の多摩陵や昭和天皇の武蔵陵、多くのハイカーで賑わう高尾山で知られている。
 当社は、八王子駅から2km程離れた北大通り、善能寺の向かい側に位置する。
 当社の歴史をひもとくと、現社長の叔父である豊三郎氏が、大正12年4月1日に中野町に開業したのが始まりである。当時は、糸編や毛羽取機など蚕具の販売を行っており、戦後の昭和24・25年頃から土うす、唐みなどの農具を扱うようになった。
 昭和28年に法人化し、善能寺の隣に旧店舗を構えたが、後継者と目された次男の浩氏が翌29年に急逝された。
 現社長の泰造氏は、当時21歳、大学3年生で、国立の郵政研修所で公務員を目指していたが、土曜日曜にアルバイトに来ていた関係で、29年から店を手伝うようになった。
 45年にクボタと取引を開始し、57年に豊三郎氏の後を継いで社長に就任した。平成6年には現在地に店舗を構え現在に至っている。
 平成5年6月には東京都販協の理事長に就任されるなど組織活動に大変理解の深い方である。
 テリトリーは大変広く、都下三多摩の八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市、立川市、国立市、保谷市、田無市、府中市、狛江市、調布市、三鷹市、青梅市、昭島市、瑞穂町、島部(八丈島、小笠原村の父島、母島など)、神奈川県の相模原市、川崎市、津久井郡、山梨県の北都留郡などとなっている。
 顧客数は2800戸で、耕地面積は大は3ha、小は10a、平均すると1haとなっている。専業農家は1割の280戸〜300戸である。
 トマト、きゅうり、なす、じゃがいも、玉ねぎ、里芋など近郊野菜は何でも作っており、自家消費する農家が多い。これは、畑の前で直接販売したり、スーパーや生協と直接契約したり、個人またはグループでインターネットを利用して全国のユーザーに直接販売したりしている。ネット販売のサイトは多数ある。ユーザーは、高品質であれば高くとも購入する。野菜ではないが、磯沼牧場のヨーグルトは全国的に有名である。


クボタをメインに
 次に当社の概要について触れてみよう。
 本社の敷地は5,475平方m、延建面積3,579平方m、うち製品倉庫が2,665平方m、部品庫が450平方m、ショールームが163平方m、中古展示場が244平方mなどとなっている。
 次に、当社の概要について触れてみよう。
 本社は215平方メートルの敷地に鉄筋4階建てのビルで、1階はショールームと事務所と軽整備室、2階は会議室、3階と4階は居住スペースとなっている。このほか中野上町に250平方メートルの整備工場と大楽寺町に990平方メートルの製品倉庫がある。
 社長を除く従業員は7人で、男女別では男5人、女2人となっている。職種別では事務2人、セールス4人、整備1人となっている。
 農業機械整備技能士の資格者は1級3人、2級3人となっている。
 次に、車両関係では、軽トラック4台、バン1台、1・5トン車1台、セルフローダー3・5トン車1台、乗用車1台を有している。
 取扱銘柄はクボタが主体で約50%となっており、このほかティラーが富士ロビン、防除機が丸山と富士ロビン、乾燥機が佐竹と金子、もみすり機が大竹、草刈機が富士ロビン、チェンソーがスチールとなっている。農機以外では、長府製作所のハウス暖房機、資材関係では三菱モンサントの農業用ビニール、旭硝子のエフクリーン(フッ素系硬質ビニール)などを取り扱っている。
 事務機器については、パソコン二台、ワープロ一台、ファックス一台、コピー一台となっている。パソコンは経理、請求書、顧客管理、営業管理などに使用している。


農機屋は専門職
 次に、当社の最近時の決算をみると、12年8月から13年7月期で農機関係1億8000万円、その他資材、ハウス関係が5000万円となっている。農機売り上げに占める整備売り上げは900万円(5%)となっている。
 次に、週40時間制への対応についてお伺いすると、日曜・祭日は全休、土曜日は隔週休日とし、このほかローテーションを組んで対応している。
 次に、中古農業機械のスクラップ処理についてお伺いすると、相模原市の昭栄商会が買い取り、東南アジアに輸出してくれるので問題はない。ビニール製品については年に1回、処理業者に持ち込むようにしている。
 次に、経営理念についてお聞きすると、毎朝、朝礼の前に次の「販売十訓」を全員唱和している。
 (1)日々これ商戦。
 (2)商売は熱と誠意と努力。
 (3)セールスマンは会社の代表であることを忘れるな。
 (4)一万台も一台よりはじまる。
 (5)競争相手の悪口をいうな。たずねられたら充分説明せよ。
 (6)いずれの場合でも、社是を忘れるな。
 (7)苦情は顧客の真実の声である。
 (8)優秀なセールスマンはまた優秀な宣伝マンである。
 (9)サービスは明日の需要の第一歩である。
 (10)日々これ反省、努力。
 次に、企業経営の特色についてお伺いすると、第一には受注販売をあげられた。
 前述のように当社のテリトリーは大変広大であり、社長自身も1000軒の顧客を抱えている。納品は、大安、友引、先勝の日に行い、必ずもう1軒回るようにしている。気持ちのいい時にもう1軒回ることが、売り上げを伸ばすコツである。
 店に来てくれたお客さんは必ず購入してくれる。現在の店舗を作った時に、一般のお客さんが入りにくいように段差をつけた。農機屋は専門職であり、冷やかしはお断りというのが社長の考えである。
 第二には、修理、整備に力を入れていることである。
 当社では社長を含めた男子全員が整備技能士の資格を持っている。
 ホームセンターが出来たことにより、一時的に影響が出たが、ホームセンターの商品は修理しないようにしている。ホームセンター仕様とプロ仕様の違いを説明し、納得したうえで購入してもらう。
 第三には、無借金経営があげられる。
 当社は銀行借り入れがない優良企業であり、商品の仕入れは現金で行い価格メリットを出している。


小売業は努力だけ
 社長には一人息子の浩司氏(35歳)に店を継げとは一度も言わなかったが、平成元年2月、最愛の奥様、トシさんが亡くなり、3月に日大法学部を卒業、4月から半年間、クボタの後継者教育を受けた後、店を手伝うようになり、現在では専務として第一線で活躍されている。
 次に、過去1年間を振り返っての感想をお聞きしたところ、昨年の秋は非常に厳しい状況であった。今年の2月から、営業会議を定期的に開催し、数値目標の徹底を図ったことから、今期の決算では農機、その他部門とも前年比100%を達成することが出来た。特に長府の暖房機がハウス農家に出た。
 最後に、今後の予測についてお伺いすると、小売業は努力だけだ。農家そのものは減らないし、裕福な農家が多い。厳しい状況ではあるが、売り上げを維持し利益を確保する。有機、減農薬など環境問題に対する意識が高まるなか、平成10年からクボタのジェム電子有機肥料を扱いはじめ好評を博している。人を増やすチャンスでもあり、今までお世話になった農家にお返ししたいと締めくくられた。
 

 

全農機商報:平成13年8月号掲載