(株)神田 
真心サービスを実践する

群馬県前橋市天川大島町1364?1


創業130年の老舗
 群馬県は利根川水系の豊富な水資源や温暖な気候に恵まれ、耕地は標高10mから1,400mの間に分布する自然条件と大消費地に近いという極めて有利な立地条件を生かした農業が展開されおり、なかでも野菜と畜産が盛んである。
 本社がある県庁所在地の前橋市は東京から約100km、群馬県の中央部よりやや南に位置している。

 当社はJR両毛線の前橋大島駅の南側、歩いて5分程の所にある。
 創業は明治元年というから130年を超える社歴を有していることになる。創業者は現社長の曾祖父の倉吉氏で、二代目社長で祖父の彦太郎氏の代まではスキ、クワ、アゼカキなどの農具を製造、販売していたが、御尊父である三代目社長の祐太郎氏の時代に販売のみに特化した。

 現社長の明彦氏は四代目であり、大学で農業工学を学び、昭和39年に卒業されると、当時、当社がインターナショナルハーベスター社(本社はアメリカ)のヨーロッパ仕様のトラクターを輸入していたこともあって、研修を受けるために欧米に渡った。
 研修は約2年間で、イギリス、フランス、ドイツでは主にメカニックについて学び、アメリカでは市場調査を通じて、流通やマネージメントの研修を受け、昭和41年に帰国して当社に入社した。
 為替レートが一ドル360円の時代であったため、研修費用は大きな投資であり、また、日本からは一人で出発したので孤独な修行の旅ではあったが、新しい友人にも恵まれるなど、その経験は今でも生かされており、有意義な2年間であったという。
 昭和40年代は、群馬県ではゴルフ場開発が盛んに行われており、管理用の機械が多数導入されているにもかかわらず、それら機械のサービス体制が十分でないことを知った。そこで、メンテナンスの重要性を訴えてゴルフ場関連機械の分野に進出し成功させた。
 そして、昭和62年に45歳で社長に就任した。
 また、平成5年から群馬県商協の理事長に就任し、組合活動についても大変理解のある方である。

 当社は群馬県内全域で営業をしており、顧客数は約7,500戸である。
 県内全域に対し、本社のほかに嬬恋村の嬬恋営業所、群馬町の西部営業所、赤堀町の東部営業所の4拠点でカバーしている。
 顧客は高原キャベツをはじめとする野菜、米、麦の生産、畜産を営んでいる。多くは米を作っているが、主に自家消費向けで、販売している顧客は少ない。



クボタをメインに
 次に当社の概要について触れてみよう。
 本社の敷地は5,475平方?、延建面積3,579平方?、うち製品倉庫が2,665平方m、部品庫が450平方m、ショールームが163平方m、中古展示場が244平方mなどとなっている。
 整備施設のランクは大型で、明るく、広く、そして整頓が行き届いており、正確な整備が行われている。

 社長を除く全従業員は46人で、男女別では男38人、女8人、職種別ではセールス19人、整備14人、事務13人となっている。
 農業機械整備技能士の資格者は1級2人、2級が7人、この他に自動車整備士が10人となっている。

 次に車両関係では、軽トラックが28台、1tから5tのセフティーローダーや簡易クレーンが架装されたトラックが計20台となっている。軽トラックの中には「サービス特急便」という名の車が1台含まれており、充電器、発電器、コンプレッサー、溶接機などの機械や工具を搭載して、機動性を生かした迅速なサービスの提供に努めている。

 取扱銘柄はトラクター、耕うん機、田植機、ティラー、コンバイン及びバインダーがクボタ、防除機が丸山、乾燥機が金子と大島、もみすり機がサタケ、オータケと大島、芝刈機などのその他機種がバロネスとなっている。
 事務機器についてはパソコン12台、ワープロ2台、ファックス4台、コピー機1台となっている。パソコンは主に顧客管理と経理関係に利用している。また、将来はインターネットにホームページを開設して情報の発信をしたいと考えている。



お客さまに信頼される
 当社のモットーは「真心サービス」である。これを実践するために以下の五つの項目を掲げており、今年はその中の一つの「迅速で正確な修理をしよう」に重点を置いている。このほかには、「笑顔で挨拶、気持ちの良い対応をしよう」、「お客様との約束は必ず守ろう」、「ハッキリと明確な対応をしよう」、「修理の内容はきちんと説明しよう」という項目がある。
 これらには、農機業界に限ったことではないが、一般に職人や、技術屋に対しては「愛想のない機械屋」というイメージを持たれがちのところ、これを払拭し、お客様に信頼され、愛される社員になってもらいたいという社長の願いが込められている。

 次に、当社の企業経営の特色についてお伺いすると、「トラクターの神田」と言われるほどトラクターに強いことをあげられた。
 先代社長時代の昭和35年頃、国産のトラクターの性能では不十分だったため、同じような考えを持っていた仲間たちと協力し、協同組合を設立して、インターナショナルハーベスター社のトラクターの輸入販売を始め、高性能トラクター普及の先駆けとなった。
 それ以来、トラクターについては絶対の自信を持っているが、一方でそれ以外の機種が弱いところもあるので、それらの底上げを図っていきたいとのことである。



信用と信頼で経営を進める
 昨年を振り返ると12月の決算は平年並みとのことであった。農機の販売、整備が約95%を占め、ゴルフ関係その他が約5%であった。
 農機関係のうち、整備部門が占める割合は10%弱であり、近い将来には20%程度までには成長させたいと述べられた。
 また、ここ数年は大きな落ち込みはないが、一方で売り上げが伸び悩んでいる。減反強化が農家の米作機械に対する投資意欲を減退させていることと、当社独自の要因として、ここ数年はベテランセールスから若手セールスへの移行期であることを挙げられた。

 最後に今後の予測についてお伺いすると、農家の高齢化や後継者不足、大規模化、組織化などにより農家戸数が減少し続ければ農機販売店の状況はさらに厳しくなるだろう。
 しかし当社は130年を超える年月をかけて積み重ねてきた信用と、特にトラクターに対しての大きな信頼を得ているので、これを自信に経営していきたい。また、将来を担う若手が成長し、愛される社員、人間に育ってくれることを楽しみにしていると述べて締めくくられた。

 

 

全農機商報:平成12年6月号掲載