有限会社塙農機具店
茨城県茨城県行方市浜今宿197-2
昭和26年に創業
有限会社塙農機具店
JR常磐線石岡駅から車で40分、国道355線沿いに当社はある。
行方市は、東京から70㎞、西は霞ヶ浦に面するが、2年前に鹿島鉄道線が廃線になるなど公共交通機関に乏しい。
当社は戦時中、玉造甲において醤油屋を営んでいたが、農家との結びつきが深い仲で、静岡製機の製縄機が欲しいとの要望を受け、祖父龍三郎氏が昭和26年に創業したのが始まりである。当時は脱穀機、発動機、耕うん機、その後トラクターなどを扱うようになった。
49年に父である善吉氏が二代社長に就任、平成元年に現在地である浜今宿197ノ2に移転し法人化した。
栄治氏(45歳)は、北海道専修大学短期大学の農業機械科を卒業、1年間、シバウラの松本工場で修理整備の研修を受けた。その後、埼玉県杉戸の武井農機具店で2年間修行し元年に店に戻ってきた。16年には三代社長に就任し、現在は茨城県農業機械整備技能士会の会長を務めている。
テリトリーは、
- 行方市…畑作80%、稲作20%、専業農家が多くサツマイモが中心。
- 小美玉市…畑作がほぼ100%、専業農家が多く作物はいろいろ(タバコなど)。
- 鉾田市…畑作。100%専業農家。いちごなど。
- かすみがうら市…稲作農家(コシヒカリ、あきたこまち)がほぼ100%。
全体では畑作80%、稲作20%で、他地域と同じく農家戸数は毎年3%位ずつ減少し、20年で約半数になった。しかし、規模拡大も多く、大型機械の販売が増え売り上げは横ばいである。
顧客数は1100戸で、大は40ヘクタール、小は30アール、平均すると3ヘクタールである。
クボタと共立をメインに
塙栄治社長
敷地面積は、1800平方メートル、うち大型整備工場280平方メートル、ショールーム200平方メートル、製品倉庫500平方メートル、事務所と部品庫がそれぞれ59平方メートル㍍となっている。
社長を除く従業員数は、男3人、女2人の計5人で、職種別では事務2人、整備3人、セールスは社長みずからが行っている。
農業機械整備技能士の資格者は、1級2人、2級1人である。
取扱銘柄は、クボタが5割、共立(やまびこ)が2割でこのほか乾燥機が静岡、籾すり機がサタケ、大島、保冷庫がダイキンなどとなっている。
最近年次(21年5月期)の決算についてみると、売上高は前年並みである。農業機械に占める整備部門割合は12・5%、中古農機割合は20%である。
農家とのすり合わせが大切
ショールーム
経営理念についてお伺いすると、第一に常に農家の利益になるように心掛ける。
厳しい状況の中で少しでも高い機械を売りたい農機具屋が多い。当社では、今必要な物、将来使える物をお客様に勧める。大きな馬力のトラクターを希望されても、その農家に小さい馬力が合っていると思えば、小さいトラクターを勧める。小さい方が安く便利で、違う作物を栽培する時に利用価値が高いので、敢えて小さいトラクターを勧める。
何が一番農家のためになるのか考えないと後が続かない。農家が良くなれば農機具屋も良くなるので、農家の希望とのすり合わせをすることが大切である。
第二にどこにも負けない技術力があげられる。
古くて直せない機械や難しくて直せない機械がが当社に持ち込まれることがある。お客様の前で部品を外しながら一つずつ修理していく。ミッションが壊れ他店ではメーカーに修理を依頼するものも、自社整備することにより店の信頼に繋がる。メーカーごとに特色があるので、日々技術力の向上には事欠かない。
第三には、正直であることがあげられる。
明治維新で武士の身分がなくなった時、人を欺かない武士が成功した話がある。社長は不器用なので、正直に平らに分け隔て無く人に接するよう心掛けている。
ちなみに社長の名刺には「がんばります! お客様の数だけ喜びがある! 情熱と技術と信用の店! ※優良農機具何でも取り扱いいたします※」と刷り込まれてある。
企業経営の特色であるが、修理整備を中心に営業をしている。農機具店本来の形を生かし、農家との繋がりを大切にして、地域のニーズに合った物を供給出来るように考えている。農機具販売を通して農家を育てることが出来るようになりたい。
お客様本意で元気のある店
整備工場
今年を振り返っての感想をお聞きすると、農作物が安値だったため、大型機械は余り出なかったが、20馬力トラクタークラスの小物の販売は好調であった。中古機のニーズは高くなり、下取り機が入庫する前に販売先が決まっている状態である。日頃から修理整備中心の営業をしているので、小物に助けられた結果、売り上げは横這いである。普段からの努力がお
客様に認められた結果ではないかと思っている。
平成21年度食料供給力向上緊急機械リース支援事業は、申請書類が全て採択された。
農政に対してお伺いすると、今年は今までにないリース支援事業があり、補助金も農家にとってありがたいが、農家の経営基盤である米価に対して策の施しようは無いのだろうか。日本人の主食である米がもう少し高値で安定すれば、補助金など必要ない。
従来の農協経由から、スーパーや外食産業に流通経路を変えても、あくまでも企業本位であるためにコスト削減(安値)を求められることが多い。本来、安くて安全な物を届けることは無理がある。コストが多少掛かっても、有機肥料を使い丹精を込めて栽培すれば、消費者もさらに安全な物を口にすることが出来る。
最後に、今後の予測についてお聞きすると、農家戸数は減少する一方、規模拡大が進むので、今と同じ状態が来年も続く。
このような中で、農協を頼らず自分で販路を拡大する農家が増える。直売所やスーパー、HPを使ったインターネット販売などである。
さらに、現在と違う販売方法や販売先を探す農家、誰も作っていない作物を作る農家が増える。八年前にミズナを始めた農家は、キューピーマヨネーズからドレッシングを入れて売りませんかと話があり、一箱7000円で200箱売り上げたことがあった。
当社ではHPで情報を発信しているが、ネット販売は行っていない。あくまでも農機具屋に徹している。幸い若手社員も育ってきているので、お客様本意で元気のあるお店を維持していく。