栃窪農機株式会社
攻めの姿勢で変化に機敏に対応
福島県福島市宮代鍋屋敷20−7
昭和33年に創業
栃窪農機株式会社
今月のお店訪問は、奇しくも民主党連立政権が誕生した9月17日に行うこととなった。抜けるような秋晴れの青空の中、フルーツ一杯の農道を抜けてお店に到着した。
今回、訪問した栃窪農機株式会社のある福島県福島市は、福島県の北部に位置し、国見町、伊達市とともに宮城県に接している人口30万弱の地方都市として栄えている。
気象条件は、奥羽山脈と阿武隈山地に囲まれた盆地状の地形の影響を受けた内陸性気候である。このため、昼夜の温度差が大きく、高品質な農作物が収穫されている。特に、果実類の生産に適しており、温州みかん以外はほとんどの果物が穫れる産地となっている。このため、従来から「フルーツ王国」と言われ、果樹生産は県の重要な産業となっている。
お店は、果樹生産地帯の真っ直中にあって、周りは見渡すばかりのもも園やりんご園である。ちょうど今頃は、ももが終わりを迎え、これからは、りんごの収穫が始まるところである。
東北本線東福島駅から徒歩5分のところにあるお店に到着すると、代表取締役の栃窪博明氏が出迎えて下さり、大変歓迎していただいた。
お店の創業は、昭和33年とのことから比較的新しいお店との印象でした。翌年には法人化がなされ、順調に営業活動が開始されたようだ。
創業者は、現会長のお父上で、社長職を息子に移譲したが、経営の重要な判断には、社長に適切なアドバイスを与えるなど、会長職として辣腕を振るわれている。平成2年に二代目の現社長栃窪博明氏が就任し、新たにスタートを切った。
ヤンマーと共立を主体
栃窪博明社長
お店の敷地は敷地面積五5460平方メートルで、うち整備施設が240平方メートル、ショールーム90平方メートル、製品倉庫は180平方メートル、中古展示場180平方メートル、事務所54平方メートル、部品庫80平方メートル、その他の施設として230平方メートルとなっている。
従業員は、男性12人、女性3人である。職種別には、事務職3人、セールス6人、整備6人である。農業機械整備技能士等有資格者は5人いて、5人とも2級技能士の資格を有している。
取り扱い銘柄は、ヤンマーが主体で、お店の看板もヤンマーの特約店そのものであるが、最近は、ヤンマー商品の扱いは減ってきており、現在は約4割程度とのことであった。ヤンマー以外では、果樹地帯であることから、共立の取り扱いが多くあるそうである。また、乾燥機では山本製作所の扱いが多い。その他オーレックの乗用モアも扱っているとのことであった。
年商は、ほぼ前年と同額程度であるとのお話しであった。特に、果樹関係のスピードスプレーヤー、乗用モア、トラクターの中古農機は常時多数保有しており、総売り上げに占める割合は、2割を超えている。
主たるテリトリーは、地元福島市を中心に、福島県北部を広範にカバーしており、多くの顧客を抱えている。お店のお客さんは、約四千戸で、地域では、果樹、水田、畑作と多様な農業が営まれている。水田の1戸当たりの耕作面積は、大は1〜3ヘクタール、小は3〜5アールと小さく、二極化が進んでいるのが現状である。果樹農家は専業の比率も高く、畑作の専業農家は、最近はハウス経営に移行しているのが多く見られるようになっている。
他社との明確な差別化
ショールーム
次に経営理念についてお聞きした。栃窪社長は、即座に次の三点について熱っぽく語られた。
一つは、「変化に即座に対応すること」だとおっしゃる。常に攻めの姿勢を持ち、世の中の変化に機敏に対応することで、閉塞感を打破できるとおっしゃった。他店と同じことをやっていてはダメである。どこの店でも同じならお客は、わざわざ我が社にには来ない。我が社がお客から如何にしたら選んで貰えるかをいつも考えている。明確な差別化を行うことで、我が社を選んで貰う。会社を選んでもらうのではなく、自分を選んで貰えるように、毎日切磋琢磨しているつもりである。
お客には自分のこういう思いが通じているから、店に来てくれるのだと信じている。毎年、相当額の商売をさせてくれているロイヤル客をたくさん持っている。特に、この方々を大切にして、商売を発展させていくつもりである。
二つ目には、「凡事徹底」が重要だそうだ。お話しの内容は、当たり前のことを当たり前にきちんとやり遂げるという意味だとのこと。決めたことをきちんと出来る体制を作ることが経営者の役目だと強く意識しているそうだ。記者は、言葉で言えば簡単そうなことだが、その通りに実行するのは、並大抵なことではないだろうと感じた。
三つ目は、「現状打破」ということ。農家戸数が減少する中、お客さんへのきめ細かなフォローが必要との思いから、店の方から、需要を喚起する手法に取り組む必要があると思っているそうだ。補助事業や制度資金の案内を通じて、農機の購買需要を積極的に喚起していくことが重要。また、今後は、点検整備などのアフターが重要と考えている。新しい顧客をどのようにして作り出していくかが、これからの課題である。
常に先を見越した動き
整備工場
次にお店の経営方針をお聞きした。栃窪社長は、この点でも三つのポイントを指摘された。
- 一点目は、「先手必勝」である。人に先んじれば勝つ確率は高い。常に先を見越した動きが商売には必要である。
- 二点目は、「粗利の確保」である。自分の必要とする粗利を常に意識して、達成するよう努力することが大切である。
- 三点目は、「コスト意識とスピード感」である。お客はスピードを望んでいる。商売は常に段取りをしながら動くことが重要である。一刻でも人より早く動いて、シェアを取ることが商売に勝ち残るコツだと思っている。例えば、新商品が発表された時は、いち早くお客さんに紹介し、買い換えを促すことがシェアを取るのに何より大事と考えている。
さらに、1カ月、1日単位のコストを意識すること。コスト意識は、漫然としたものではダメである。シビアなくらいでないと意識していることにはならない。商売とはそれほどに厳しいものだと思っている。
これからの商売は、情報が命だ。情報が勝敗を分けることになると思っている。我が社は、中古農機の仕入れ・販売にネットを使っている。ネットについては、いろいろ言う人もいるが、要は使いようだ。販売店どおしの横の繋がりがネットで出来る。この横の繋がりが商売には重要だ。
これからはインターネットの時代になると思う。毛嫌いしていたら時代に取り残される。積極的に使って、便益を得ることこそ、これからのビジネスだと思っている。偉そうなことを言ったが、我が社はまだ、HPがないので、何とか早く開設したいと思っている。ネットをフルに活用して、情報収集・交換に努めたいと思っている。
これからは、公共事業が少なくなった建設・土木業者の農業への新規参入も多くなる。環境保全も重要なテーマである。これまでの経営理念と方針を変えずに変化の激しい時代を生き抜いていくつもりである。
社長の力強い言葉に記者は、大きな元気を貰った気がした。心から繁盛を願うものである。