有限会社日の出商会本社

時代の変化に即応する

福岡県八女市納楚760-11

昭和22年に創業する
有限会社日の出商会本社
有限会社日の出商会本社
 今月のお店紹介は、福岡県八女市にある有限会社日の出商会である。
 八女市と言えば、ご存じの通り日本茶の有名ブランドである八女茶の産地である。
 八女市の農業は、ブランド茶の他に電照菊、いちご等が知られている。水田と畑がほぼ半々の割合で、米のウエイトは高くない。
 さて、福岡市内から約1時間でお店に到着した。早速、美味しい八女茶をご馳走になりながら、2時間ほど熱心にお話を伺うことができた。 農機販売の仕事を始められたのは、ご祖父の金納和夫氏が昭和22年に金納農機商会を創立されてからである。29年には、福岡クボタ(株)の特約店となった。
 昭和49年に和夫氏の長男である忠博氏が代表取締役に就任して、有限会社日の出商会となった。この頃から、農機販売とは別に、住宅設備機器の販売・施工に着手している。後に述べるが、この住宅設備機器関連の業務は、現在でも業務の重要な柱となっている。 平成七年、会社の執行体制を刷新、忠博氏の長男である一英氏(現社長)が代表取締役に就任した。当初、農機では、西日本三菱農機販売(株)の特約店となり、住宅設備機器では、三菱重工空調システム(株)の特約店となった。
金納一英社長
金納一英社長
 現社長の一英氏の社長就任には一つのドラマがあった。一英氏は、20歳まで2年間、自衛隊員であった。思うところがあっての入隊であった。
 当時、会社は順風満帆とは言い難い状況で、大変な苦境にあったとのことである。一英氏は、家業を引き継ぐため、除隊を決意し、多くの困難を克服し、会社の再建を果たした。
 再建当初、最初に特約店として認めてくれたのが、三菱農機であったとのことで、その関係は現在も続いている。その後は、日立建機、クボタとも取引が広がり、順調な経営が続いている。
 一英社長は、現在、福岡県商協青年部の牽引役として、組合の組織活動に尽力されており、組合きっての理論家として、一目を置かれる存在である。



三菱・クボタ・日立をメインに
屋内展示場
屋内展示場
 お店のテリトリーとしては、農機では、八女市、筑後市、黒木町、矢部村、星野村、熊本市、みやま市、久留米市である。また、空調関係では、八女市、久留米市などのほか佐賀県、大分県まで商圏を広げている。
 農機の顧客数は1500戸で、空調関係では約500戸の顧客を有している。顧客の耕地面積は、大は2ヘクタール、小は15アール、平均すると30アールとなっている。
 本社の敷地面積は、2848平方メートル、うち大型整備施設1568平方メートル、ショールームは32平方メートル、事務所は63平方メートル、展示場330平方メートル、部品庫182平方メートル、製品倉庫99平方メートルなどである。このほか試験耕作地(実習田)として、約2200平方メートルの水田を有している。また、本社とは別の場所に、整備工場として1568平方メートルの整備工場が設けられている。
 社長を除く従業員は男5人、女1人で、職種別では事務1人、農機の営業1人、空調の営業2人、また、整備関係では農機担当が1人、空調のメンテナンス担当が2人である。農業機械整備技能士の資格者は、1級2人である。
 取り扱い銘柄は三菱、クボタ、日立の三銘柄が主で、その他シズオカ、山本、サタケ等の商品を扱っている。


経営の三本の柱
屋外展示場
屋外展示場
 最近年次(19年3月〜20年2月期)の決算をみると、農業機械は前年比4%増、空調関係では、前年比7%の売上増加となっている。農業機械と空調関係との売上比率は、おおむね6対4となっている。
 日の出商会の経営方針などを伺うと、一英社長は次のように語ってくれました。 一.当社は、二つの国道が交差する場所に店があり、また、周りにはスーパーやホームセンターなども数多く出店しており、お客さんの利便性が大変良いと言う点で、立地的に恵まれている。
二、農家戸数、耕地面積の減少等、農機業界を巡る状況は、今後とも厳しいものと予想される。農機専門店としては、経営上、大変厳しくなるので、時代の変化に即応して行く必要がある。
 そのため、立地条件の良さを生かし、農機部門を柱に、空調関連部門を第二の柱として経営に取り組んできた。今後は、第三の柱として、環境・住宅設備機器関連の業務を加えて、経営の三本柱として行きたいと考えている。
 次に、今年の経営状況等について伺った。
 一、農機部門では、今年9月までは予想していたより順調に業績を伸ばすことができたが、10月の需要期ではコンバインで苦戦を強いられた。これから年末にかけて、土耕機等の実演等で巻き返しを図りたい。
 二、空調部門では、毎月平均した売り上げにメンテナンス事業が堅調で業績を維持することができている。
 次に、昨今の農政の動きについて、熱く思いを語っていただいた。
 現在の農政は、現場の事情や実態の把握が十分なされないまま実行されている気がする。現場は相当混乱している。農機業界だけでなく、すべてが混迷した時代に突入している。政治も文化も教育も経済も人間性や気候までもが激変している。今こそ現場を直視して、タイムリーな施策を実行してほしい。
プロとしての力を発揮
店先にも展示
店先にも展示
 最後に、今後の予測について、忌憚のないご意見を伺うことができた。
 一英社長の言葉をそのままご紹介したい。
 しばらくは世界経済の低迷は混沌と続く、我々人類が今まで経験したことのない、新しい時代の幕開けだと思う。
 そういう時代認識の下、諦めたり、挫折感を持たず、こういう時こそ本物の知恵を出し合い、勇気と希望とスピード感を持って、変革(チェンジ、イエス・ウイ・キャン)を成し遂げ、地域社会とともに生き抜くことを再確認し、プロとしての力を発揮する必要がある。
 取材を終え、雑談の中でも、一英社長から有意義な意見をいただいた。
 昔、PTAの役員をしていたこともあり、教育問題について熱のこもった話を伺うことができた。また、今後の経営ビジョンでは、新しい柱とする環境・住宅設備機器関連の事業展開の方向として、ソーラー発電機器の取り扱いを拡充する計画についても強調された。これからは、家庭の環境ビジネスや地域に根ざした農商工連携事業への取り組みが経営拡大に繋がるとの持論であった。記者も大いに納得したところである。
 また、組合組織に対しても、有益かつ大胆な指摘や提案をいただいた。 組合員どおしの濃密なコミュニケーションがまだまだ不足であること、旧態を踏襲するだけではなく、恐れることなくチェンジが必要であること、などたくさんの示唆に富む話が伺えた。
 記者は、福岡県商協にこの人ありとの感を抱いて帰途に着いた。

全農機商報:平成20年12月号掲載