株式会社安城動力農具普及会
顧客第一で乗り切る

愛知県安城市明治本町13−17

昭和26年に創業
 安城市は、名古屋市から30キロ圏、西三河平野の中央に位置し、農業、工業、商業の調和のとれたまちである。
 今回の取材には、夏目裕史社長とご尊父の鉱平会長に同席願った。
 変わった社名の由来をお聞きすると、2キロ程離れた所にあった愛知県農事試験場の杉山部長が、戦前、これからの時代は動力農具の普及が最優先であるとの考えで、現在地に動力農具普及会、名古屋市熱田に名古屋支店(その後、名古屋動力農具普及会)を設立し、試験場の試作機を現場で改良を加えるといった、現在でいう緊プロ農機へ取り組んだのが始まりである。
 短期間ではあるが、旭号ブランドで、ロール式籾すり機や動力脱穀機を製造販売したこともある。
 昭和26年に祖父、弁作氏が譲り受け、安城動力農具普及会の初代社長に就任、29年に法人化した。当時は、ノダを扱っていた。
 鉱平会長は22年から2年ほど、愛知県商協に勤めた後、26年から店を手伝うようになり、39年弁作氏が死去され、二代社長に就任した。35年頃から三菱を扱うようになった。
 61年から平成8年まで、愛知県商協の理事長を務められたが、体調を崩し、12年から裕史氏が社長を務めている。
 裕史社長(51歳)は、現在、愛知県整備技能士会の会長を務めている。
 テリトリーとしては、安城市、岡崎市、豊田市、知立市、刈谷市、高浜市、碧南市、西尾市となっている。
 テリトリー内の農業事情であるが、かつては安城を中心とする碧海郡一帯は「日本デンマーク」と呼ばれていた。また、現在は、国の進める水田作経営のモデルとされる程の農業先進地である。
 56年からは、集落に農用地利用改善組合を設立し、担い手(営農組合)へ利用集積して、転作の団地化などを進めている。
 営農組合(組合員149人)が、農地・作業の受託をして、水稲の60%、転作小麦の90%、転作大豆の95%を担っている。
 作物としては、米(コシヒカリ、あいちのかおり、祭り晴)、小麦、大豆、施設野菜(きゅうり、いちご)、露地野菜(にんじん、玉ねぎ、なす、ほうれん草、大根、すいか、白菜、キャベツ)、果樹(梨、いちじく、ぶどう)、花きなどである。
 顧客数は1000戸で、営農組合では最低10〜15ha、最高400haと規模拡大が進んでいる。


三菱をメインに
 次に、当社の概要に触れてみよう。
 敷地面積は、270平方メートル、うち小型整備施設50平方メートル、ショールーム30平方メートル、製品倉庫40平方メートル、中古展示場40平方メートル、事務所40平方メートル、部品庫60平方メートルなどとなっている。
 社長を除く従業員は、男4人、女2人の計6人で、職種別では事務2人、セールス2人、整備2人である。
 農業機械整備技能士の資格者は、1級3人、2級1人となっている。
 取り扱い銘柄は三菱が7割で、このほかトラクター、耕うん機、ティラーが本田、防除機が丸山、乾燥機が山本、籾すり機がスピーなどとなっている。
技術力に絶対の自信
 次に、最近年次(15年3月〜16年2月)の決算についてみると、農業機械については前年比100%、その他、ライスセンター及び精米施設設置、製麺乾燥施設の設計変更・設置が前年比100%となっている。農業機械売り上げに占める整備部門売り上げは6%である。
 次に、週40時間労働制への対応であるが、年間休日は110日で、農繁期にはローテーションを組んで対応している。
 次に、使用済み農業機械の処理についてお伺いすると、クローラ、タイヤは有料であるが、その他のものは無料で処理業者に持ち込む。
 次に、経営理念についてお聞きすると、「顧客第一」をあげられた。
 当地では、集団化が進んでおり、個人農家は25%しかいない。系列販売会社やJAなど競争が激しい中で、一度つかまえたお客様をずっとつかまえていないと厳しい。
 次に、企業経営の特色をお伺いすると、「迅速丁寧、直るまで」をあげられた。
 社長は、現在、全国農業機械整備技能士会の副運営委員長を務めているが、技術力には絶対の自信を持っており、他社で直らないものも責任を持って修理・整備をし、当社で直らない機械は使えないものである。メーカーの講習会に参加したり、ガス溶接、酸素溶接の資格を取るなど常に技術力の向上を図っている。
顔がわかる技能士会
 次に、今年を振り返っての感想をお聞きすると、昨年並みであるが、個人農家の動きが悪かった。トラクターや田植機は自己所有でも15年使用すれば採算が合うが、農家の高齢化が進み、機械が壊れたら営農組合に委託してしまう。また、当社では、ライスセンターのシェアを押さえており、最近も有限会社の農業法人に350石のライスセンターを納めた。
 最後に、今後の予測についてお伺いすると、厳しい状況であるが、打てる手はそのつど打っていく。多角化を進め、市内の緑化事業者の八割は押さえている。愛知万博と中部国際空港のからみで、過当競争となり、全国のリース業者が発電機を投げ売りしており安値が続くであろう。
 また、アフターサービスの出来ないホームセンターを利用して懲りているホビー農家対策も重要である。農機販売店の所在を知らない人も多いので、PRに努めたい。
 愛知県技能士会としては、2年前から大手4社の協力を得て新技術取得研修会を実施しており、銘柄の枠を超えるものとして、会員に好評を博している。今後は、インターネットを通じた中古農機情報の交換など、お互いの顔がわかる技能士会にしていきたいと締めくくられた。



全農機商報:平成16年11月号掲載